(木) 22:39 感想
花鬼扉の境目屋さん|WEBコミック ぜにょん(三話無料で読めます)

・ストーリー
> 心優しい妖怪に現世での生活を指南する職業・境目屋。人間界に住みたいけど中々うまくいかない彼らに<人間らしさ>を教えるのだ。その愛おしくて切ない、妖怪たちとの日々とは——。

・コミックス
> 全四巻・完結

・夕街コラージュ文
◆花鬼扉の境目屋さん について
 妖怪を倒すべき敵と捉えたり、ペットのような動物、集めるモンスター、という捉え方をする物語では無く、人間社会の一員になろうとする──すなわち「人間になろうとする」物語です。
 これは大変現代的・社会的な物語であり、ニートの社会復帰問題であり、移民についての物語であり、あるいは投獄され釈放されたときの社会復帰(“ショーシャンクの空に”)にも通じる、集団・コミュニティへ入ろうとする過程を画いています。

 主人公(というより私はストーリーテラーと捉えてますが)、扉を管理する人間・花房実が扉からやってくる妖怪たち(こちらが主人公だと思う)を(犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする)保護司のように、【境目屋】という役割で親身になって人間社会へ溶け込む手伝いをします。
 境目屋のような役割がある、のは一人妖怪が人間社会に放り出されても溶け込めない問題が有るからであり、まずは境目屋というたったひとりの人間との信頼関係を作ることが、その後人間社会で様々な人間と信頼関係を築くための第一歩となっています。
 その最初の一人である境目屋とのトラブル、あるいは境目屋は良くてもさっそく社会に出て溶け込もうとしてから……葛藤が生まれ、悩み怒り苦しむ様が描かれます。

 そのモラトリアム期間をどう過ごすのか。時間制限が無いとズルズルとニートになりがちだし、本人の準備ができていないのに短すぎると社会に放り出されトラブルになるかも知れません。(本作は基本的に時間制限は無かったように思います)
 人間の大学生活二年四年、高卒なら高校の三年間あたりがそれに当たるかも知れません。
(このモラトリアムをカルトが悪用するとエラいことになりますが、テーマがぶれるので広げません)

宮台真司氏講演「循環する時間と成長する時間」に参加しました:リーダーのためのキャリア・デザイン・カフェ
(宮台真司氏講演会のメモより)
・カルト集団、まず鍋パーティーに誘う。ここは暖かい居場所、ここがなくなると、困る。まず、ディフェンスのバリアを取り除いて洗脳しやすくする。


 妖怪は生まれながらに人に畏れられ、忌み嫌われ、妖怪たち自身もそれに傷ついていて。やはり妖怪と差別とは切っても切り離せない面がありますが、この稿では仲間という形で触れます。
 この作品はやはり、そんな妖怪たちが人間として人間社会に溶け込もうとする様を描いているからです。
「人間社会に合わせた姿形で、人間に合わせて個性を殺して、型にはめる生き方が本当に幸せなのか」
という疑問が湧くことがあります。しかし集団に属すると云うことはなにかしらの【束縛】が有るものだと思います。それは共通言語かも知れませんし、好きなアニメの知識かも知れません。
 それが合わない、となると本質的にはサンカのように山で一人っきりで暮らすか(“アルプスの少女ハイジ”のお爺さん)、海でサバイバル(“ロビンソン・クルーソー”)するか。

 妖怪たちは妖怪であることは捨てておらず、やはり息苦しい面もあるのか、ときおり元の妖怪の姿にもどって、同じ境遇の妖怪たちが集まってどんちゃんやる様も描かれ、さながら移民の人々が日本のどこかで母国のお祭りをやるような楽しさがあります。
 その呑みの場は違う妖怪同士でも「人間界という異国で暮らす、妖怪同士という集団」としての居心地良さがあり、それもまた集団であり、その中では違う妖怪ということそのものは問題にならなくなります。【同じ異邦人】としての連帯に包まれるからです。
 またそれは境目屋とのモラトリアム期間に戻るような、ホンのしばらく子供時代に戻るような、同窓会的な居心地良さが有るように思います。

◆押し込めじゃないけど……
 この辺はまた楽しいひとときな面もあるとは思いますが、「じゃあ無理に人間に溶け込まず、そのまま妖怪同士で暮らす地域に住めばいいじゃん、妖怪タウン的な」という思考が頭をもたげます。
 一時期「棲み分け」という大変沸騰した議題にもなりました。

上野千鶴子「日本人は多文化共生に耐えられないから移民を入れるのは無理」


 私自身も昔そういう考え方をしたこともありますし、そういう考えになる人も多いかも知れません。
ワLIもんspinoff【あそどっぐの寝言は寝て言え!】#6 続・寝たきりで得した事・損した事 2017 2 19

(24:36頃)「押し込めじゃないけど、特区というか…」
 門司港かんだ氏はそういう特区を作り、リソースを集中して障害者の楽園を作るのはどうか、的な意味合いで仰ったのだろうけど、これは歴史的に失敗と排除にしかなってなくて。

 アメリカ黒人差別の歴史ではトイレやバスの席も白人と黒人で分けられ、ナチス・ドイツではユダヤ人お断りの店、などなど……。日本にも被差別部落やハンセン病療養所、という「棲み分け」がありました。
 差別では無く区別、と糖衣する「売春じゃなくて援助交際」論法はスルーの方向で。

 門司港かんだ氏の例え話では「ママ友的な」コミュニティが出てきますが、それは例えとして適切ではなく、ママ友しかいない特区で暮らし続ける、というわけじゃないし、自由意志であちこちの集団・クラスタに属せるのとは全然違うと思います。

 そんな意見に対して、寝たきりのお笑い芸人あそどっぐ氏が(大分に障害者が多く勤める会社があるらしい、と踏まえつつ)端的に切り返していました。
「僕は一箇所にまとめない方がいいかなと思いますね。社会に溶け込むという理想を追い続けた方がいい。じゃないと、分けてしまうと、もう一生そこの溝が埋まらないので。一回分けてしまうと人ごとになっちゃうでしょ?」
 その前の話題では、
「大変なのは社会がその人に対応できてないから。周りの僕らのせい」
 とも。

 花房実「本当はね」
「そのままの姿で 生活できたら いいんだけどね」


 花鬼扉の妖怪たちも、最終的には妖怪は妖怪のままで人間界に暮らしていける理想を追い求めるべきなのかなぁと。

 違う点はあるんだけど、ちょっと共感したら、
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
 と瞬時の集団になれることもあったり。

 ただ「同じ点を探す」ところで共感し、仲間意識を高める幸福感の他に、「違う点を攻撃して、同じ点を持つ仲間との結束を高める」というほうに陥らない方が良いなぁと。

 違う点をあげつらわず、「どうしたら対応できるか」を考えるのが智慧かなと。

 知恵・智慧・智恵(ちえ)とは - コトバンク
 ①〘仏〙 空など仏教の真理に即して、正しく物事を認識し判断する能力。これによって執着や愛憎などの煩悩ぼんのうを消滅させることができる。六波羅蜜の一つ。般若はんにや。 《智慧》
 ②事の道理や筋道をわきまえ、正しく判断する心のはたらき。事に当たって適切に判断し、処置する能力。 「 -が付く」 「よい-が浮かばない」 「 -をはたらかせる」 「 -を貸してくれ」
 ③〘哲〙 単なる学問的知識や頭の良さではなく、人生経験や人格の完成を俟まって初めて得られる、人生の目的・物事の根本の相にかかわる深い知識。叡智えいち。ソフィア。



(土) 19:19 感想
草子ブックガイド<玉川 重機>
草子ブックガイド(1) (モーニングKC)

話の筋書きはごくスタンダードですが、
濃い絵柄だけど決して雑では無く、緻密に画きこまれた絵です。
本への造詣が深く、この漫画そのものがブックガイドとしての役割を果たせます。

江戸の検屍官<漫画:高瀬 理恵 原作:川田弥一郎>
江戸の検屍官 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

原作小説があるようです。
江戸でJINのようなオーパーツが有るわけで無く、当時の物や技術・知識だけでミステリが成立しているのが素晴らしいです。

短いですがキーボード壊れたのでこの辺で(´Д⊂ 明日買ってきます……
(金) 21:19 感想
路地恋花(2)<麻生 みこと>
路地恋花(2) (アフタヌーンKC)

前回の路地恋花への感想が支離滅裂すぎて面白い。おいときます。
二巻読み始めてますがいいねー。女子に血が通ってて。
男子はちょっと都合のいいイケメンお人形だけど、喫茶店のマスターは血が通っている気がする。
「書けない小説家」って事にシンパシーを感じますね。書けないから。
喫茶店のマスターとゴスロリお菓子娘の話が一番好きです。

とりあえずまぁプロット程々に、本文書き始めようとして、まずはブログに手を出してます。

そう言やのカナ<野村 宗弘>
そう言やのカナ 1巻 (ニチブンコミックス)

想像以上に良かったです。
表題作はいつもの野村さんらしいほのぼの夫婦物語。

特筆すべきは、デビューのきっかけとなった処女作「ケーブルニヤリ」。
25歳でプロ漫画化を諦め、29歳頃にペン入れした、まだまだ荒が見える漫画。
でもこれがもう、輝いているんです。野村宗弘さんの作品になっている。

それだけじゃない、「十ケ所くらいの穴」はマリッジブルーに囚われながら
結婚への準備を進める女性の心境を描くケータイ漫画。
奥さんにインタビューしたのかな? てぐらい大変細かいネタや女性がチェックしそうな視点が面白いです。
(水) 22:22 感想

路地恋花 1 (アフタヌーンKC)路地恋花 1 (アフタヌーンKC)
(2010/02/05)
麻生 みこと

商品詳細を見る

二巻有るみたいなのでチェック。雨無村も二巻以降欲しいので、明日でも本屋行ってみるかな。

大学を卒業し、零細だが自分の好きな事を仕事にした大人たち。
その恋愛を描く漫画です。この世代への視点は珍しいのでは?
(ブログの途中ですがへべれけである事を告白致します。記事が詰まんなかったら済みません)

ハッキリ云ってオシャレどもの虫酸の走る話だらけの話の筈が、
漫画とは云え自分の技で自分を食わせている人々を描いているので一目を置いてしまう。

Flash他・広告業界は不景気でも会社を設立したり食えていけても、
それは一見オシャレ振りにイラッとするけど誠実に評価するなら
それはそれで大変であると云わざるを得ないように。
京都の町家に店舗を構える人々の、仕事と暮らしぶり、恋愛模様が描かれます。

「町家に店舗を開く事そのものへの憧憬」を感じる人も居るでしょうし、
それを否定したりはしません。
そんな価値観は時代と共に流動する不確定な物なので、
風習やめんどくさいモノに囚われる理由はもはやありません。
 只郷には入るならその美的思想を知らずして郷に土足で入るな、とだけ。

 あとは「それでもルール(局所的なその思想)を守りたいと云うフェティシズム」しか無い。
 それならそれでいい。それはそれでいいんです。
(月) 15:54 感想
白狗/黒猫<富田 安紀子>
白狗/黒猫 (ヤングキングコミックス)

表紙があまり良くないが、本編は線もベタもデザインも美しい紙面です。
イイ男とイイ女がそれぞれの能力を発揮し、反目しつつも尊敬し合い、つかず離れずな大人の距離感を保って麻薬事件を解決していく厚生労働省と警視庁所属の二人。
結構好きです。一巻完結っぽいけどもっと読みたかったなぁ~。

ひまわりさん<菅野 マナミ>
ひまわりさん (MFコミックス アライブシリーズ)

作者が気持ちいい空間を正直に描いたのだと思うので和みます。
ガチ百合と云うより片思いで懐いてる感じだから、作者が本当にひまわりさんが好きなのだなぁと思うし、読者も一緒に好きになれるバランスがよいですね。
ひまわりさんの服がコロコロ変わるのが楽しいです。ノベルゲームには難しく、漫画ならではの楽しみなので。

ちくたくぼんぼん 1<勝田 文>
ちくたくぼんぼん 1 (クイーンズコミックス)

レトロ好きな勝田文さんらしい、大正時代な風景を描く漫画。
こちらも好きな事描いているので素敵です。和装野郎にいちいち萌えます。
大正時代のかふぇ、サザエさんのように生け垣越しにお隣同士しゃべる距離感。
生活空間も含めて憧憬してしまいます。

ただ本作は(勝田さんにはめずらしく)「いわゆる少女漫画らしい」「心此処に有らずな」ヒロイン像なのが気になります。
核心に触れようとすると違うところを見ているような、「芯を外す」感じ。
ヒロイン邪魔になった? 一番描きたいのは三五で、三五を描くための口実な感じ。

三五と都一の野郎二人だけスピンアウトしちゃってもっと「好きな世界」に特化してしまっていいと思う。