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(水) 00:00 公開作品
混じり気のない蒼天に
舞う薄紅のさくら花
鼠色したマンション包み
ごうごう唸る春一番

ぎいぎい軋むエレベーターが
十一、十二と昇り行く
鉄のつぼみが花弁を開き
咲いた一輪、白桜

はためく白いワンピース
細い素脚に膝頭
長黒髪に花弁を紡ぎ
編んだ先からまたほどく


「寒緋桜(カンヒザクラ)」   夕街昇雪
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(日) 00:00 感想
面白い話を書かなきゃ、という気負いかな。あと、たとえ習作でも失態は犯せない、
みたいなものが悶々と。思いつきやネタはメモに溜まる一方。形にならない。
……ところがね、畳に寝転んで窓の外の空を見てたら、なんか詩的な気持ちになって。

アンテナ        夕街昇雪
三枚に下ろした飛行機みたいな 鉄の骨
きっ と一方向を向いて聞き耳を立てている
複雑な理論で複雑な形状をした 鉄の骨
空のひび割れのように 静かに聞き耳を立てている

詩を一つ書くとなんか、書くのが楽になったのれす。小説一本書いちゃうぐらい。
ルカ ─楽園の囚われ人たち─<七飯宏隆>
第11回電撃小説大賞の大賞受賞作。うん、これは面白かった。あとライトノベル
読者が、ライトノベルに何を求めているのかが少し解った。多分、特権と苦悩と、
ある解決。解決の形は作家に任されている気がする。ただ、読者は自分を納得させて
欲しい、という注文を突きつけてはいる。
一冊できっちり終わっている事に好感が持てた。ヒット作とされるライトノベルの
遅々とした展開は、水で薄めてまで巻数を増やしたいの? という邪推をしたくなる程
タルい。ドクロちゃん面白いのに勿体無い。ノリだけで最後まで読むのは辛く、
途中で放置。どうやらあちきは、電波男になれないらしい。
電波男<本田 透>現代オタクの基礎知識、みたいな側面も。内容は
キモイ伝
が面白かった人なら面白いと思う。てかキモイ伝は的確な概要説明になってます。
筆者がOneという美少女ゲームを通して自己嫌悪・自己否定病・みじめ中毒、「永遠」、
障害者への愛などを語る場面があります。「障害者への愛」以外は全て、内向きには
中二病
、狭い範囲への外向きには
セカイ系
という言葉で名づけられ、中高生向け作品を意識する人々は避けて通れない概念だと
思います。

●DQNという言葉が出来るはるか以前。連れに「DQNと分かり合えないのかなぁ?」と
問うと、「分かり合えないんだよ、連中とは」とけんもほろろな答えを頂きました。
●電波男によれば、阪神大震災当時、ボランティアの顔して被災した女の子をやり逃げ
した、なんて火事場泥棒のさらに上を行く外道がいたという。そんなの小説でも書けない。
●仕事場にリアル岸和田少年愚連隊な絵師がいます。でも、そんな風には全然見えない
シャンとした容姿で、釣りや温泉や車の改造が大好きな落ち着いた好青年です。
日常にガンの飛ばしあいがある話。拉致られて廃ビルに監禁された話。プロレスラーと
組み手をしてやり込められた話。決して力自慢するわけでもなく、そんな話をさらりと
できる不思議な人です。三十代になれば人間として大きく丸くなれる、という事なの
かなぁ。でも失踪日記なんか読ませたら、何の未練も無くポーンと会社辞めそう。
失踪日記<吾妻ひでお>おおー、面白い。“あじまテイスト”で描かれた
漫画が絶妙のユーモアになっている。多分“絶妙オブ・ザ・イヤー”。事実は小説より
不条理なり、なんつって。
エッセイ漫画だろ? なんて舐めないで。中二病もセカイ系もしかと見よ。世の中は
こんなに面白い。そしてこれも一端に過ぎないほどこの世は“豊か”なのだ。
……ちょっとゴーダ哲学堂を引用。「そういうお前をわしゃ食った」みたくズルイ
言い方だけれども。
ここまで描けたのは、やはり喋ることと同じように自然に漫画が描けるからこそと
いう仮説はどうかな。ただ絵日記を描いているだけなのに、自然にあさりちゃん
テイストになってしまう
室山まゆみ
とか。あと、自分に嘘をつかないという事かも知れない。
吾妻ひでおも室山まゆみも、「自分に嘘をついた作風」には見えない。
何を描いても滲み出てくるものがあり、それが持ち味になっている。
漫画家さんは、漫画で日記を描くといいかもですよ。持ち味が出るかも。
(土) 00:00 公開作品
 あまり腹の満たされない三月の定例会も終わり、久々に中島さんと飲みに行く事になった。
 一段と丸みを帯びた顔を、後ろでまとめた髪留めが引っ張る。お相撲さんだった。自分も、腹の出っ張り具合では負けていないつもりだ。
 酋長の店は、前触れも無く閉店したという。ドアにいつも額がぶら下がり、エスパー真美のヌードシーン原稿が出迎えてくれていた。もう安物のブリキの取っ手を回しても、開かなくなっていた。
 体を横にしてやっと入れる入り口を抜けると、マンションの玄関ぐらいのスペースにカウンターとチェアが横たわる店内だった。まるで押入れの布団に潜り込んだように、狭くて暗くて温かい隠れ家だった。壁の選挙ポスターから微笑む、月亭可朝の笑顔が忘れられない。
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(土) 00:00 感想
姑獲鳥の夏
映画化される。その昔、京極堂シリーズが三作ぐらい出た頃、
姑獲鳥うぶめの夏<京極夏彦>を読んだ。
それまで星新一のショートショートや中島らものエッセイなど、短い一口サイズの
文章ばかり読んでいたせいか、感想は「長い」。そして、「これはミステリではない」
と感じた。その為、以降のシリーズを読まなかった。

あなたは名探偵
<藤原宰太郎・桜井康生>電波出てます。そして邪悪な笑顔。
緊張感あるシーンを台無しにする左上の落書きみたいな探偵君?は、
とぼけた間抜けさが憎めないマイトガイです。
名探偵登場
<加納一朗>さいとうたかを風タバコを吸う男。それにしても下段の写真が
見事過ぎる。ただのドアノブなのに、
なんですかこの緊張感。絶対何か、異様な音に驚いてますよね。
それが聞こえてくるかのよう。モンキーパンチの漫画も痛快だったなぁ。
名探偵トリック作戦
<藤原宰太郎>LV3スーパーコンボ・眼鏡直し。挑発技と侮る少年の
胸板に、風穴を開けます。

職業によって靴底の磨り減る部分が違うとか、夜道で尾行する際の注意点など、
自分の人生において今までに無い視点や実践的な推理・探偵テクニックの数々が、
この子供の頃に読んだ探偵入門に記されていた。小学生ぐらいの子供にとっては、
面白いと言われても小説を読むのは苦痛。そこでミステリの面白さを抽出し、
沢山の挿絵や図解で説明したこれらの本は、本当に名著だと思う。
推理クイズ漫画をはっきり覚えている。さいとうたかをそっくりの絵柄で、
蒸し風呂の中で人を殺し、凶器が見つからないという内容だった。
姑獲鳥をミステリではないと否定しておきながら、最近になって十角館・水車館を
読むまでミステリを読んだ事は一度も無いあたくし。あぅ、石を投げないで……。
どうやらその頃の自分は、これらの入門書によって紹介された奇想天外なトリックや
仕掛けに魅力を感じ、無意識にそれを期待して読んでいたのだと思う。それで、
「こんなのトリックじゃない!」と姑獲鳥の夏を否定したようだ。
不幸な出会い。先に綾辻行人に出会っていれば、自分の人生は大きく変わっていた
……か・も。(参考:
「推理クイズ」の世界を漂う


姑獲鳥を再読しました。一日以内で読めた自分には、もはや長くもなんとも無かった。
近頃は夢野久作ばかりを読んでいるお陰で、古い言い回しや当て字、
現代に於いてあまり使わない漢字を振り仮名無しで苦も無く読めました。
冒頭の、脳と心を軸とした民俗学的・哲学的な談義は面白く、
自分にとって全く拒絶反応が無かった。ひょっとしたら過去に読んだ時、そこは既に
読解しており、長年かけて自分の脳に抽出不可能なレベルにまで浸透して、
哲学体系に影響を与えている可能性があるなぁとさえ思う。
そして、今読むと面白かった。いわゆる「本格ミステリ」という概念を知った今こそ、
小説=推理クイズだけではないのだ、これはまた違う小説なんだ、と理解できたからだ。
呪いは解けた。偏見は無知から生まれる。

高校時代。京阪西三荘駅高架下で、気心の知れた美少年な先輩と二人で、
森羅万象に渡って語り合った時間。あれを小説にできるんだなぁ、なんて思った。
(水) 00:00 公開作品
「たのも──っ!」 樫の扉を強く打ち付けるコブシは、ラウラの迷いの無さと強い意志を感じさせた。
「出て来なさいオリベ! 今日こそ決着つけてやるわ!」
 居るのは分かっている。居るに決まっている。強い思い込みを秘めた瞳には、事実がどうあろうと、扉の向こうに薄笑いを浮かべたオリベが映っているのだろうか。
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(日) 00:00 公開作品
「ストーカーの恐怖」:夕街昇雪

 丸いつまみを時計回りに回す。雑音。反時計回りにミリ単位で回す。
 チューニングの微調整が進むにつれ、スピーカーから漏れる声が女の声であることに気づく。女性でハム無線をやるのは珍しい事だった。

「ミュィ…聞こ…すか? …え…ビュィイ…ま…聞こえますか? こちらZAH2MKR、ZAH2MKR、助けてください、殺されそうなんです!」

 カップラーメンを啜る箸を捨て、耳を覆うヘッドフォンを手でしっかりと押さえつけた。
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