(火) 21:37 感想
「スミレ・16歳!!」最終巻が出てた。
 卒業シーズンを前に、中々いいタイミングで出版されてますな。
 読んだ。
 なんか泣いちゃった(笑)

 完全にギャグセンスが昭和のそれだし、人情味も取って付けたような所がある。
 けれど、クサい話も丁寧に描く木訥さに人柄がにじみ出ていて、逆に心地よいぐらいだ。


 これはノスタルジーなのか?
 そういう部分もあるかも知れない。
 ノスタルジーを踏まえているからこそ、ベタなはずのあの最終話が掛け替えのない物になっている。
 これまでのお約束を意外な形で踏まえつつ、登場人物を完全に活かしきったラストシーン。
 見事です。

 作者は意図してないかも知れないけど、「え、じゃあ初期に目が死んでいた教職員も実は……?」なーんて想像の余地があったりして楽しい。いや、意図してるかな?


 今の少年漫画って血が出たり腕や首が吹っ飛んだり、殺すだの殺されるだのに終始するものや、少年誌なのに乳首が出てるとか、もうそういう漫画しか出てこないんだってあきらめ気味だった。

「スミレ」は「がきデカ」みたいな時代を変える爆発力があるわけじゃないし、
「GOLDEN LUCKY」や「稲中」みたいに独特のセンスを持っているわけじゃないけど、
ちゃんと少年ギャグマンガをやろうとして、描ききっている。

 オヤジの正体についてですが、作者は全面的に正しい。だからこそ、
「スミレ+オヤジ=ギャグマンガそのもの」
が不滅であると確信できる瞬間に立ち会えたのだから。
 この作品が好きだって奴とは、旨い酒が飲める気がする。

 次回作も楽しみです!


 やっぱ、このビジュアルがズルいよなぁ(笑)
(月) 20:13 感想

2009-02-21 宇多丸のウィークエンドシャッフルで「20世紀少年」
TBSラジオ、「宇多丸のウィークエンドシャッフル」で「20世紀少年」について話しました。



町山さんの「20世紀少年」評、やっぱおもしれぇなぁ。
監督の堤幸彦より、原作の浦沢直樹より、深く作品にダイブしている。

権威ある映画評論家とかどうでもいいけど、
町山さんのように僕らを驚かせたり楽しませるという
結果を出す人なら評価できる。

いずれは先人たちのようにこのクオリティーを保てず
いつかは内容が劣化するのだとしても、
ファンでありつつ、つまらない物はつまらない、面白かったら面白いと言いたい。


映画、見てないけどやっぱりつまらないらしいね。
浦沢直樹自体がつまらないのに、映画が面白くなるわけ無いじゃん。
風呂敷を広げるだけ広げて期待を煽り、
広げきったらその風呂敷の中には何もない。
そういう作家なんだから。そういうスタンド能力なんだよ。
否定も肯定もしない。
本が売れている以上、必要としている人が居るのだから。

ただ、売れるから正義だなんて思わない。
麻薬産業や人身売買、振り込め詐欺や宗教書のベストセラーを、
売れてるから正義だなんて言えないように。


宇多丸さんの映画評、ザ・シネマハスラーも中々面白いなぁ。
見た目のイメージとは裏腹に、つまらない映画でも丁寧に見て、感想を言っている。
ちょっとしばらく聞いてみよう。

おくりびとも冷静な評価。だよね~。
外国語映画賞とったけど、実際はロビー活動の賜物とのことで。
まぁ手段はともかく、
「感動の名作」
「アカデミー賞外国語映画賞受賞」
とか、そういう看板なしでゆっくり見て欲しい、地味な映画なんだよね。

短編アニメ賞の「つみきのいえ」が見たいなー。


昨日見つけた、ちょっとかっこいいPV。

(木) 01:20 感想

家電製品長期レビュー パナソニック「電気掃除機 MC-JC10WX」
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やべぇ。「ふき掃除機機能」やべぇ。ほすぃ。
「ノズル部分は親ノズルと子ノズルにワンアクションで分離できる」とかかっけぇ。
スタパ齋藤さんの的確なレビューもあるけど、この一箇月に四回に分けて一つの製品を使ってみるというこの企画が的確すぎる。
いいところ悪いところを徹底的に体験して、根掘り葉掘り詳細にレビューされちゃうと掃除機が欲しく成っちゃうわん。

お金もらって書くライターだから多少は提灯記事になるとはいえ、レビューは良心に従いきちんと書かれている。
例えばフィルターを綺麗に保つ「フィルターはたき機能」は便利だが、騒音は気になるよと正直に書いて、音声付き動画で公開している。

今の掃除機、今日も朝問題なく使ったけど、なんだか新しいのが欲しくなり始めててヤバス。……くっ、物欲番長め。

ポットも結構古いけどまだ使える。だけどレビュー見ると電気ケトル欲しくなる。うぐぐ。

ますますTVCM、TVそのものが要らないなぁ……。
広告代理店が中間搾取しまくって私腹を肥やして闇に消えていた広告料も、GoogleなどがMapやMail、DesktopなどというWebサービスの形で無料還元してくれるし。
もう無料でTV番組が見れる時代から、無料でWebサービスが使える(しかも永続的に)という時代になってるんだなぁ。


Mac OSの使い方 - Mac選び、使用目的で選ぶ<木下 幹司>
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同じ感じで半年ほど悩んで買ったMacだけど、もっと早く買えば良かったとさえ思う。
2009年2月18日、現時点でWinシリーズ全て(7含む)とMac(Leopard)のどちらを選ぶかといえば、間違いなくLeopardだ。
初心者が「パソコン欲しいんだけど」と言ってきたら、まずMac優先で勧める。

Macにないのは、IEぐらいだ。
Gyaoが見れないけど、むしろYouTube全盛の時代にSilverLight選ぶようなGyaoの方が悪い。先見の明どころか、すぐ身の回りのことなのに見えてないんだから。

Win7beta触って、Adobe CS4は迷うことなくMac版を買った。
Win7……ひどいな、アレ。
あんなVistaSP2を金を払って買わされるなんてご愁傷様、とさえ言いたくなる。

MacとWin、それぞれ違う考え方で使いやすさを追求しているのならそれはそれでいい。
フィロソフィーが違うのなら、比較検討すればいい。それなら後は好みの問題だ。
だけど15年近くWinユーザーだった自分に言わせて貰えば、Winは使いやすさを追求しているとはこれっぽっちも思えない。
Macの心地よさに触れる度に思うのは、Win開発陣の「やる気の無さ」への怒りだ。

なんつーか……。「Win作ってる人、本当にWinを愛してますか?」って聞きたい。
本気でもっと使いしやすくしたいと思ってる?? って。
MSはお金持ちなんだからMacを研究する予算ぐらいあるでしょ? Mac触って「今のWinじゃダメだ」って危機感を持つ人も、「このセンスを取り入れたい」ってインスパイアされる人が、たった一人でも居ないの?
僕らが選択の余地無く「Winを選ばされていた」からって、その状況にあぐらをかき、向上心を無くし、手を抜きまくっているようにしか思えない。

Macの真似をするなら、もっと上手に、いいところをパクれよ!! って思う。
できればWin独自の進化をして欲しいのだけれど。

Winのいいところは、右クリックメニューとホイールマウスを発明したことぐらいだ。
両方ともとっくにMacが取り入れている。だからもう、アドバンテージには成らない。
今Winを導入するぐらいならMac、次にUbuntuの検討もお勧めする。これは無料Linuxだけど良くできてるよ。


長年Win使いでCtrlキーが端っこにないとつらい。のでキーコンフィグを「KeyRemap4MacBook」でガスガス変更したらとっても快適に。
エディタも「mi」をカスタマイズしまくって使えばTeraPadやEmEditerを凌駕する使い心地だ。
PC間ファイル共有はWebサービスの「DropBox」で事足りる。MSN Messengerよりスマートで広告がない「Adium」、SoundEngine Freeの代わりに「Audacity」、メールも標準の「Mail」に通知プラグイン「Mail.appetizer」を入れただけで格段の使い心地。

ただ標準検索機能のSpotLightよりGoogleDesktopの方が便利だ。iPhoto09も大量の写真をインポートさせると落ちるのでPicasa Beta for Macを使っている。

あとATOK2009、Winは二月発売したけどMacは七月らしい(去年までのペース的に)。
……JustSystemさん、同時に発売してくだちゃい(´Д⊂w


@nifty:デイリーポータルZ:一億円の車に未来を見た!<安藤昌教>
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水素の燃料電池自動車の話ですね。

アメリカエネルギー産業がブッシュ政権に働きかけ、石油欲しさに無意味なイラク戦争を起こしたというのは周知の事実だ。
そして911テロの死傷者を超える戦争犠牲者を出し、治安を回復するどころかお目当ての石油利権すら手に入らなかった。
最近電気自動車関係の話題が元気なのは、石油利権やガソリン車企業の力が弱まり、電気自動車普及の妨害力が減退しているからだ……ってのは自分の妄想だけど、案外間違ってない気もする。

エコブームとかしゃらくせぇなって思う。
けどあんな無駄な戦争が起こるぐらいなら、
僕らが石油を買うことで、中東が内戦で殺し合うための兵器をどんどん買えるというのなら、
生きる上で最低限必要な物だけでも、自給自足できるテクノロジーがもっと発達すればいいのになと思う。
一説には日本が太平洋戦争に参加せざるを得なくなった原因の一つに、ABCD包囲網で石油備蓄が無くなりそうだったからだと聞くし。

とは言ってもアメリカみたいに、バイオエタノール生産のためにトウモロコシ作りすぎて農業と食生活がおかしくなったりしないよう、バランス感覚に注意して欲しいけどね。

当たり前の生活が当たり前に出来れば、それで結構じゃないかと思う。
原材料などの物資は無理でも、せめてエネルギーぐらいは自給自足で。
(土) 11:23 同人
虎の穴さんと発注行き違いがあって、おとつい配送センターに送付しました。
店頭で探してくれた人済みません(>_<)

というわけで小説三作「寒緋桜」「大禿」「妖怪部・犬神絵解き」、
メロンブックスさんと虎の穴さんにて取り扱い頂いております。
販売会より+100円で頒布中。(400円、400円、500円)


内容は以下の通り。
 寒緋桜 ……
     自虐シリーズより前に書いてた十詩子さんスピンアウト「カラオケハッピー」
     壁の薄いマンション。隣室の様子がおかしい……?「寒緋桜」
     百人一首の調べに乗せて、ある一人の女子の心情を描く「歌は世に連れ…」

 大禿 ……
     ハム無線から聞こえたのは、ストーカーに悩む女性の独白「ストーカー」
     絶滅の危機を迎えた人類の奇妙な人間関係「大禿」

 妖怪部・犬神絵解き ……
    「犬神・白児<しらちご>」を絵解きする妖怪部の少年たち。
     彼らは鳥山石燕の妖怪絵に隠された『真の意味』に触れる。

     新作「犬神使いと少年」の後日談ですが、本編のネタバレ無しです。

よかったらどぞー。
(火) 00:43 日記
 美味しんぼでの雁屋哲は何度か鯨肉食について書いている。
 全巻読んでないけど、確か最初の一回は日本の味方っぽく
「アメリカだってエスキモーの人々の漁獲は黙認しているじゃないか」
 ってツッコミしてて、以降は
「クジラを護れー」
 みたいな論調だった覚えがある。

「美味しんぼ」作者、ブログでシー・シェパードと豪を猛批判 - MSN産経ニュース(抜粋)
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 雁屋さんは7日付の書き込みで、SSを「海賊を通り越してテロリスト」とし、「日本の、調査船団の乗組員の命が危険にさらさられているのに、日本政府は何をしているのだ」と自衛隊の派遣を主張。さらに日本政府は抗議船の乗組員ら妨害行動の関係者すべてを日本に引き渡すことなどをオーストラリア政府に求め、聞き入れられなければオーストラリアに対し制裁に踏み切るべきと持論をつづった。

 オーストラリアに20年以上住んでいるという雁屋さんだが、「ここまで日本人を馬鹿にし、日本人に対してテロ行為を行っているオーストラリアになんか、遊びに来るな」「『美味しんぼ』でさんざんオーストラリアを褒めちぎった私が言うのだ。この気持ちを分かって欲しい」と述べ、怒りをあらわにした。


 考えが変わったのか、丸くなったのか、ずいぶん論調が変わっている。

 雁屋哲のブログを見てみると至極真っ当なことを言っている。
 まぁ、ちょっと極端で熱く成りすぎなとこもあるけど……。根はいい人なんだろうなぁ。

 んでも著名な漫画、しかも取材時間が限られる連載漫画上で南京大虐殺とか扱うものだから、最新の研究では不確定だったり間違っている情報がそのまま間違ったまま単行本になり、日本中の漫画喫茶にばらまかれてしまっているのは功罪相半ばしているなぁ。
 活字の本ならまぁ、古い本の古い情報は淘汰される物、って言う土壌があるからまだいいけど……。漫画はキツいよね。子供も読めるっていう利点がそのままリスクになっている。


 スマイリーキクチさんへの根拠のないデマもそうだ。
 何が正しいとか、自分には分からない。
 新聞もテレビもネットも頭からは信じられないし。


 正確さを担保したWikipediaとかが必要なのかなぁ。
 それこそコピペで論文や妖怪ノベルが作れるぐらいの。
 担保する個人や学会の電子署名とか付けたりして。
 意見が分裂する場合は両方載せて、それぞれ電子署名を付けて。

 情報の正確さは読む本人が最終的な責任者になるけど、少なくとも「自分はこの団体や個人の意見を信じる」っていう判断材料には成るのかな。


 その個人や団体の過去の「正確さ履歴」はランキング表示されるようにして、デマを流したらランクが落ちるとか……って考えて、最後のこれは意味ないなと気付いた。
 だってそうなると多数決の論理が働き、人の数を集める団体の方が有利だよね。
 投票者にも完全に一人一票が電子的に担保できても意味がない。
「血液型占いは商業的に作られ維持されている疑似科学だ」
 って事さえ、覆せないだろう。
 覆せないどころか「血液型占い」という迷信なミームが、いよいよアメリカにも輸出されるらしいし。

 やぁねぇ。


 そんな自分は世間から目を背け、デイリーポータルZを見て逃避するばかりですよ。

@nifty:デイリーポータルZ:道路やマンホール迷路<小柳 健次郎>
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レンガでくまれた道路やマンホールの溝を見てると、迷路に見えてくる。この感覚は小学生ぐらいからずっとあった。


 あったあった!
 てか、今でもよくやります(笑)
(水) 21:36 感想
釜ヶ崎の事なんて、金を払って読みたいと思わないだろうしなぁ。

それでも、自分だけでもこの本を評価したい。
2008年に読んだ中で、最も優れた文学作品だった。
「私の男」はまぁ、別腹で。
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ニッポン釜ヶ崎<大谷民郎>
大阪のスラムと呼ばれる釜ヶ崎。高度経済成長を支えた人々が強いられた最底辺の生活と日常を、実際にそこに住んでいた大谷氏が鮮烈に描写している。
黒岩重吾、ミヤコ蝶々の推薦もうなづける。

「プロローグ」P34より

 しかし、食えないからと死んだものをだしてはいない。長屋はうまく出来ていて、そこまで落ちると、いい方法がいくらでも目の前に出来て来る。手足や顔に鍋ずみなどをなすりつけて、髪を乱し、ボロは専門の貸し屋があり、それをまとって、一心寺か天王寺の境内に坐るのである。生まれて四、五ヵ月位いの子供がいれば好都合、その子も貸してくれるところがある。ただ、坐って頭をさげているだけで、喜捨にありつける。
 芝居の衣裳部のように、身につけるボロなど、行者や遍路などに化けられる物まで賃で貸してくれる重宝な店舗があり、商売として店を張っている。
 足の満足な奴は松葉杖を使う。この杖も借り物だ。ひどいのはいざり<﹅﹅﹅>の箱車に乗って、子供に先引きをやらせる。夕方、帰って来て顔さえ洗えば、なんの働きにしても、働いて来たことに変わりがない。子供の借り賃、いざりの車代を少々払ってもあとにいくらかでも残る。頭をさげて頼みまくって借りるよりは、この方が気が楽で良い。これをやったからといっても長屋ではどうこういわない。

たくましいなぁ(笑)
……とはいえ、好きでこういう生活をやっているわけではなく。
なんつーか「鬱屈と漠然とした不安、自己否定」の悪循環に陥って手も足も出ず、結局底辺の暮らしから抜けられなくなっているように思える。
というのも、景気が悪い時ってお金がないから気持ちがふさぎ込むのだけど、逆に気持ちが滅入っていると購買意欲が湧かない→お金が動かない→より景気が悪くなる、という側面もあるからねぇ。


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「子を預り屋」のエピソードが凄まじい。
話は松島遊郭の天神裏・東雲楼という遊郭から話から始まる。
(松島遊郭は今の松島料理組合、赤線時代の風情が残る花街)
女郎は借金の形<かた>に売られ、楼主にピンハネされ、病院で何度も子を堕ろし肉体をボロボロにして金を返していく。

「子を預り屋」より

 島が流れて
 病院焼けて
 親方(楼主)コレラで死ねばよい。


ある日、一人の女郎が一人の男に身請けされることになった。
奇妙なことに、年期(年季)をあと半年残したところで……。
女郎の名は梅島(本名の滝子から滝島とも)。大阪の遊郭には珍しい東北出身の女。
男の名は黒木団次郎。遊び人でやくざ者と蔑まれた車夫である。

 団次郎は、あとの半年の年期が待てなかった。年期が明け、自由になったものを迎えるのでは気持ちが許さない。真実のあるものを通さねばならぬ。前借りと年期のまだ少しでもあるうちに迎えてやろうと、待ってさえいればやって来るものを、いくらかでも金を積み、無理をして梅島を今日迎えることにした。働きに働き、どうにかそれだけの金をまとめた。


黒木団次郎が、普段はお大尽の旦那衆を載せる人力車に妻を乗せて疾走する。
つい先ほどまで松島遊郭の女郎・梅島だった、滝子を。

人力車が千代崎橋に差し掛かる。
滝子にはなじみのあるポンポン船の音。しかし、船を見るのはこれが初めだった。

「さあ、みろよ。五年もいた松島だ。もう見ることもなくなる島だ」
「はいッ」


なんとも美しい、真面目で真っ直ぐな人々だ。
古き良き時代の人情話。美しい情景。

かと思えばお市とお末の隣人姉妹のエピソードが折り重なる。
物語は次第に狂気と猟奇が交錯していくのだが……えげつない話なんだこれが。
草は歌っている草は歌っている
(2007/12)
ドリス レッシング

ノーベル文学賞作家ドレス・レッシングの「草は歌っている」に匹敵する文学作品だと思う。これは凄い。


「ラーメン屋騒動記」もいい。

 そのホルモン焼きは、釜ヶ崎が発祥の地なのである。
 鉄板上に内臓を山のように積み上げ、じりじり熱を加える、ソース、醤油、香辛料をふんだんに入れる、ぐらぐらするものを何度も引っくり返す、時間をかけているうちに、油脂が四辺にぴちぴち飛散って来る。快適な食べ物となる、栄養価が高く、安価でもある、この土地なればこそと思わせる。


んまそう(*´q`*)


釜ヶ崎は暴動などで何かと対岸の火事、原始人みたいな人々が暴れてるんでしょ? 的なイメージを持たれていると思う。

その有様も鼻息が掛かる距離から活写されている。

 今、ここに起こっていることは、遠いベトナムに起こっている問題ではないのだ。一般社会の目は、一つの面白い事件としてだけしか受け止めていないのだ。
~~~
 三畳のバラックに四、五人も雑居している現状を知っているものがあるのだろうか。
~~~
 郊外の、青い木々にかこまれた、空間をゆたかに持った、それらの人々は、真夜中になれば、天井からばらばらと米粒大の南京虫が落下して来る、バラックや簡易ドヤに、余儀なく押しこまれている、生活者の心情を理解してやれるだろうか。
~~~
 あくまでも力をもっておさえる手だ。事態がここに至れば、これよりほかに制せられる手はなかっただろう。しかし、三夜にわたって、二千、三千と、動員された、警官のちからだけの一方的なあり方では、もうこの街には安心していることは出来ない。子供らの中にさえ、やめてください、わたしたちに悪いことがあれば改めます、何かしてあげたいと思います。いってください、だから、喧嘩はもうやめてください。悲痛な声が出るようになった。
~~~
 旧住吉街道も、二十六号線も、人、人だ。その速さはあきれるばかり、しかも、野次馬ではない、彼の目は、石をひろい、または、乗用車に火をつける、その動作に、直ぐかかれるようにかまえている。
~~~
 南海阪堺線路上まで、目だけを不気味にギョロッとさせた者たちが、どこに視点を置いているのか、激しい気配を押さえてもみ合っていた。
 事態がこんなふうになるまでは、三分とかかっていなかった。その瞬時、ほんの束の間だけ、口々に、正確だと思われるこの騒ぎの原因が伝えられたが、あとはもうなんのための、どうした原因の騒ぎなのか、全く烏合の衆のものとなって、大きく広がっていった。騒動が二日、三日と、夜になればたしかに主催者のある催しものに起こった。電車の運行も、バスも、タクシーも道を断ち切られた。
 人の集まるのに分秒もかからないのは、ドヤの高度成長、高層化がその役目をしている。一つの建物に三百、五百といるんだから、ただ一人の号令だけで大群衆となる。


群衆は時に狂気に陥る。
学があろうが無かろうが関係ないのは、歴史が証明していることだ。
(日) 00:00 図書館列車書庫

世界大戦の最中でも 人間は歌と娯楽を忘れたことはねえ
マリリン・モンローが慰問に行けば 死にかけた兵隊も起き上がれる
 人間とはそういう生き物だ
大衆は楽しいこと嬉しいことには喜んで金を出す
 消費が冷え込んだ今こそ 俺達娯楽屋が気合いを見せる時だ

王様の仕立て屋<大河原遁>「勝利への脱出」より)


折からの不況でスポンサーが次々に降りる中、映画職人の監督がスタッフを鼓舞する台詞。
作者の漫画に向ける気合いを込めたようにも思えるのが、また面白い。
あたいも気合い入れなきゃね!
……あといつの間にかWikipediaが充実しててびびった。


まずは2009年最初のお勧め漫画を。
環状白馬線車掌の英さん<都戸 利津>【図書館列車書庫入り!】
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うちの図書館列車に似たコンセプトかな、と思って手に取ったんだけど、段違いにこちらの方が面白かった。
漫画としての完成度が尋常じゃない。
漫画の教科書と言っても遜色ない出来で、「やられたー!」と何度叫んだことか。

最終話の締め方、図書館列車でもやろうと思ってたけど出来なかったやつで悶絶。アイディアを話の形に落とし込む力が無くてねぇ……。


そういえば「ぬらりひょんの孫」、三巻で化けた気がする。
ぬらりひょんの孫 3 (3) (ジャンプコミックス)ぬらりひょんの孫 3 (3) (ジャンプコミックス)
(2009/01/05)
椎橋 寛

水木しげる準拠の妖怪設定に、椎橋氏独自の解釈で描かれている。
牛鬼の真の恐ろしさである「あの能力」については「牛鬼の過去」として。
ぬらりひょん(爺)もいい感じ。(もちょっと格好良く描いても良かったと思うけどね。コミカル味が混じっちゃってる。……ぬらりひょんだからそれでいいのかも!?)

『マフィア物の「リボーン」に和風の「ブリーチ」を足せば、腐女子は喜ぶんだろ?』
……的な編集部の狙いがあったかどうかは知らないが、椎橋氏がこの作品の手綱をしっかり握り始めたように見える。
今後も楽しみな作品になってきた。


さて、2008年のお勧め漫画を。
ま、基本的に「感想」リンクにまとまってるんだけど……。
詳しく触れてないものや、再度触れておきたい物にさらっと触れときますか。


青春時代にゲーセンに通ってた自分には、クリティカルヒットでした。
FLIP-FLAP<とよ田 みのる>
→感想


単行本では去年完結なのでこちらも。
綺麗に終わって、いい感じでしたね。
ボーイズ・オン・ザ・ラン<花沢 健吾>
→感想


聖☆おにいさん 1 (1) (モーニングKC)聖☆おにいさん 1 (1) (モーニングKC)
(2008/01/23)
中村 光

聖☆おにいさんは中々面白い。ただ年内最高、ってのは肩の荷が重いと思う。
そんな高評価を背負わせるから「おしゃれ系漫画だ」とか余計な反発を招くのだと思う。
「お勧め。面白いよ」ぐらいのユルさで充分だ。


あとは木造迷宮の和風お手伝いさんに萌えたり、
木造迷宮 (リュウコミックス) (リュウコミックス)木造迷宮 (リュウコミックス) (リュウコミックス)
(2008/03/25)
アサミ・マート


漫画は下手だけど、社会の暗部の仕組みを垣間見せてくれた作品や、
イノセントブローカー (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)イノセントブローカー (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2008/07/30)
加藤 山羊


随筆のようなホッと出来る作品に出会えたり、
深夜食堂 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)
(2007/12)
安倍 夜郎
→感想
とろける鉄工所 1 (1) (イブニングKC)とろける鉄工所 1 (1) (イブニングKC)
(2008/11/21)
野村 宗弘
→感想

古典の有名作品を、女たちのドラマとして生々しく捉え直した作品に出会えたり。
恋ひうた 1―和泉式部異聞 (1) (フラワーコミックスアルファ)恋ひうた 1―和泉式部異聞 (1) (フラワーコミックスアルファ)
(2008/07/10)
江平 洋巳

今年もきっと面白い作品に出会えるんだろうなぁ。
そこは信じられる。
楽しみで、嬉しいわぁ。