(土) 00:00 感想
姑獲鳥の夏
映画化される。その昔、京極堂シリーズが三作ぐらい出た頃、
姑獲鳥うぶめの夏<京極夏彦>を読んだ。
それまで星新一のショートショートや中島らものエッセイなど、短い一口サイズの
文章ばかり読んでいたせいか、感想は「長い」。そして、「これはミステリではない」
と感じた。その為、以降のシリーズを読まなかった。

あなたは名探偵
<藤原宰太郎・桜井康生>電波出てます。そして邪悪な笑顔。
緊張感あるシーンを台無しにする左上の落書きみたいな探偵君?は、
とぼけた間抜けさが憎めないマイトガイです。
名探偵登場
<加納一朗>さいとうたかを風タバコを吸う男。それにしても下段の写真が
見事過ぎる。ただのドアノブなのに、
なんですかこの緊張感。絶対何か、異様な音に驚いてますよね。
それが聞こえてくるかのよう。モンキーパンチの漫画も痛快だったなぁ。
名探偵トリック作戦
<藤原宰太郎>LV3スーパーコンボ・眼鏡直し。挑発技と侮る少年の
胸板に、風穴を開けます。

職業によって靴底の磨り減る部分が違うとか、夜道で尾行する際の注意点など、
自分の人生において今までに無い視点や実践的な推理・探偵テクニックの数々が、
この子供の頃に読んだ探偵入門に記されていた。小学生ぐらいの子供にとっては、
面白いと言われても小説を読むのは苦痛。そこでミステリの面白さを抽出し、
沢山の挿絵や図解で説明したこれらの本は、本当に名著だと思う。
推理クイズ漫画をはっきり覚えている。さいとうたかをそっくりの絵柄で、
蒸し風呂の中で人を殺し、凶器が見つからないという内容だった。
姑獲鳥をミステリではないと否定しておきながら、最近になって十角館・水車館を
読むまでミステリを読んだ事は一度も無いあたくし。あぅ、石を投げないで……。
どうやらその頃の自分は、これらの入門書によって紹介された奇想天外なトリックや
仕掛けに魅力を感じ、無意識にそれを期待して読んでいたのだと思う。それで、
「こんなのトリックじゃない!」と姑獲鳥の夏を否定したようだ。
不幸な出会い。先に綾辻行人に出会っていれば、自分の人生は大きく変わっていた
……か・も。(参考:
「推理クイズ」の世界を漂う


姑獲鳥を再読しました。一日以内で読めた自分には、もはや長くもなんとも無かった。
近頃は夢野久作ばかりを読んでいるお陰で、古い言い回しや当て字、
現代に於いてあまり使わない漢字を振り仮名無しで苦も無く読めました。
冒頭の、脳と心を軸とした民俗学的・哲学的な談義は面白く、
自分にとって全く拒絶反応が無かった。ひょっとしたら過去に読んだ時、そこは既に
読解しており、長年かけて自分の脳に抽出不可能なレベルにまで浸透して、
哲学体系に影響を与えている可能性があるなぁとさえ思う。
そして、今読むと面白かった。いわゆる「本格ミステリ」という概念を知った今こそ、
小説=推理クイズだけではないのだ、これはまた違う小説なんだ、と理解できたからだ。
呪いは解けた。偏見は無知から生まれる。

高校時代。京阪西三荘駅高架下で、気心の知れた美少年な先輩と二人で、
森羅万象に渡って語り合った時間。あれを小説にできるんだなぁ、なんて思った。