(火) 00:00 感想
沙耶の唄<NitroPlus>
”作品の性質上、グロテスクな表現による感想があるので注意。”
うちに遊びにきていた親戚のちびっこ連中を見ながら、この世には「沙耶の唄」を
読んだことのある人と無い人の二種類がいるのだなぁ、なんて思った。読まなくて
済むなら読まないでいいよ、とも。
グロテスク表現そのものは、コミケ経験初期に遭遇した臓物ぶちまけ・人体改造もの
18禁本を見た時に、とっくに自我の何かが崩壊・再構成していたので、その
グロテスクさに受けるショックは辛うじて半減していた。お陰で妙な偏見なしに
読めた。自分は多分臓物が友人でも割と受け入れてしまいそうだけれど、恋人が
大便と精液の混合物なら狂っちゃうかもしれない。
狂気に至る過程に非常に納得。狂気なりにれっきとした人格がある、という描写も
納得できた。
奴隷に奉仕させながら普通の会話をするシーン、背徳的でエロゥイ・・・。お陰で
奴隷・ご奉仕シチュエーションの入門を果たしちゃいましたよ。遅いですかさいですか。
世界観、演出、無駄の無い会話シーン、完成度の高い正しい短編かと思います。でも、
宿命的に日の目は見れないんだろうなぁ。アングラの更に下、裏文学というか。
火の鳥<手塚治虫>というモチーフに対し、パクリ感は全く無かった。
作中で語られるまで忘れてたし。むしろ、生きている腸(はらわた)の影響を挙げて
おきたい。


生きている腸
<海野十三>
リンク先の青空文庫で無料で読めますので是非。いい時代になったなぁ~。
文章は全然上手くないと思うけれど、そのアイディアや発想の奇抜さが凄い。
奇抜なアイディアをそのまま思いつきで原稿用紙に叩き付けたような文章だけれど、
なんだろう、あの独特の後味。おどろおどろしい見世物小屋の昏い魅力。
確実にこれにもインスパイアされているように思った。
Z級タイトルな「
宇宙女囚第一号
」のラスト、考えすぎ君のあちきは「え、この女囚はほんとに
火星人とのトレードなの?別々の星で偶然知的生命が偶然互換性のある同じ発明をして、
2回も同じタイミングで装置を発動し、トレードする確率ってあるのか!?
怪物は絵里子じゃないの?絵里子も怪物を見たと言っているけど嘘で、
博士は狂っているのでは?」なんて怖い考え(Byぼのぼの)になっちゃいました。
がたぶる。


鬼哭街<NitroPlus>
こちらは打って変わって大衆向け。映画化できそうだよね。沙耶の唄ショックの
お陰でインパクト薄いんだけれど、作品としての完成度はもちろん高いです。
ああでもあんまり言うこと無いのはなぜだろう。男前が超能力振りかざして
順当に幸福を手に入れる活劇が大嫌いだからなのかなぁ。どーせブサイクで無能
ですよーだ。ふふん。
これから一般向け作品作る身の上としては勉強になりました。
電脳ワーム=蟲毒っていうアイディアは好き。あ、でも外家ダメダメ内家マンセーは
ムカツク。でも内家の電磁発勁って進化は上手い。


化鳥(けちょう)<泉 鏡花>
唐突ですが、自分、雨フェチです。伊丹十三が映画中に執拗に雨のシーンを入れる
思い入れには程遠いかもですが、この化鳥における、雨中のバロック小屋でただ
ぼんやり外を眺める感じ、実生活でもやるぐらい好きです。そこに松本零士的な
グレートマザーに包まれる安堵感を加え、どこか牧歌的な雰囲気に、ごく何でもない
猿のエピソードにさえ何か意味を見出してしまいます。
ラストの決して派手ではないが幻想的な締めも、控えめな美しさが。