(火) 19:43 感想
宗教と性の民俗学<赤松啓介>
1909年生まれ。ほぼ百年前に生まれた赤松先生。
柳田国男が避けてた「性の民俗学」に着目し、
「学者先生がそのまま行ったってホントの話なんか聞けるかよ。
地元民と一緒に暮らしたり、同化して見なきゃ腹なんて割ってくれねぇよ」
と言わんばかりに現地潜入しまくった異端の民俗学者って感じの人らしい。
んでも、民俗学で重要とされる「フィールドワーク」ってそういうことだよね、うん。

丁稚時代から女房、娘、女中に手を出したり誘われたり。
民間信仰の集団へ掛け持ちで潜入して、若先生として手伝ったり。
友人とスラム街暮らしをしてみたり、田舎へ帰って遊んでみたり。
大阪中央郵便局の事務吏員試験に合格・採用されたり。
色んな運動団体に接触し治安維持法で留置所へ入れられたり。
人それぞれ、人生面白いなぁ。
飽きっぽいのか放浪癖があるのか、多彩な遍歴に何か親近感が沸く。

「宗教と性の民俗学」の内容だけど、結構読みやすい。
民俗学の小難しく言うだけで中身のない、退屈な本ばっかりの中で辟易した時に、一服の清涼剤になった。
「スーパーの女」で伊丹監督が、食肉偽装や食の安全について十二年も前に指摘していたり、

「それでもボクはやってない」で周防監督が、もうすぐ始まる裁判員制度や現状の司法の問題を取り上げたり。

やはり面白くないと、内容がどんなに正しかろうと、誠実だろうと、読んでくれないよなぁ、うん。
……まぁ、それでも牛肉偽装事件や痴漢でっち上げが起こってしまうのが哀しいけれど。

閑話休題。本の話に戻すー。
「I 民間信仰と性の民俗」あたりは普通に解説してるんだけど、「II 戦前のマチの民俗」になるととたんに口語になって、大阪の片隅で怪しげなまじないで口を糊する一癖も二癖もあるオヤジの語り口で大変面白い。
まるで織田作之助小説に登場しそうないかさま師が軽快な調子で話すかの如く、手練手管を面白可笑しく解説してくれる。こいつぁ痛快だ!

「反宗教逃走運動は失敗したが、一つだけ大へんな効果があった。
それは宗教屋、神主、坊主、牧師、教会主などの淫乱、インチキぶりが分かったことだ。
たいてい元、女中していたとか、いま女給、酌婦、仲居で、通ってきているという人たちからの確実な情報が多かった。
最も悪質なのは坊主どもで、大阪の四天王寺、一心寺などという大寺院の坊主たちは元より上本町あたりの密集している小さい寺の坊主でもテカケ、メカケの二人や三人もっていないのはなく、おまけに夜となると道頓堀、千日前に現れて御乱行。とても俗人共には想像も出来なかった。
~(中略)~
昔の寺や神社は小作地を持っていたから、坊主も神主も女にはしたい放題やっていた。
八尾、郡山、奈良というのはメカケマチで、妾だけで町内が出来ていると教えてくれたのがある」


メカケマチてwww 「奈良市のマスコットキャラ」に怒られますよ赤松先生w ……あ、亡くなってるか。ずりーw
あと「上本町あたりの密集している小さい寺」って、オダサク巡礼の際にMapionで見つけたあの寺院の事だろうなぁ……ニヤニヤ。

他にも宗教ビジネスのやり口や占い師の騙しかたなど、実地体験しただけあって出てくるわ出てくるわ。身も蓋もない語り口がいっそ清々しい。大宗教が小規模団体に名前貸ししてた話、人工で滝を作って「滝うたれ修行場」ビジネス始める人の話、古事記とかにまず出てこない神様を勝手に作って、「ウチが本家です。伊勢神宮の天照大神は支店です」とか言い出したりw
いーかーがーわーしー!!w

ザコネ・オコモリという風習で集団宿泊中に自由恋愛やったり、昔の人は今より奔放に性交してたそうですよ? 田舎のほうの風習ってのは偏見で。表向きは「みんな大人だから」「無かったことにしてるだけ」だったそうで。
「今時の中高生は性が乱れとるッ」とか言ってるのは、まじめくさった大人の戯言なのかも知れませんねぇ。

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