(日) 11:11 図書館列車書庫
私の男<桜庭 一樹>【図書館列車書庫入り!】

「このミス大賞」「本屋大賞」など賞を信じて下らない小説を掴まされた人にこそ勧めたい、第百三十八回直木賞作品。
ただし桜庭一樹は劇薬であり非常に癖があります。文は読みやすいですが、問題は内容です。読んでいてつらい。「人としてこの本は封印して忌むべきだなぁ」と言わしめるような内容です。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と同じく、二度と読みたくないほど“痛い”。
あくまで男女の愛を描いたもので、構成もとても面白い。とある有名な映画を思い出す人が居るかも知れませんが、それが元ネタだとしてもちゃんと噛み砕いて洗練されています。
インタビューでは「物語の背骨」という事を念頭に置いたという話をしていますが、私は多分、きっと桜庭一樹は「ダメ男萌え」なのだと思います。そして、それを突き詰めた“だけ”なのだと思います。
「シンプルな奴ほど強い」──空条丞太郎
そしてそれをいかに素晴らしく書くか、自分がキャラクターを愛することだけを一番に考え、書いたのではと思います。腐野花<くさりのはな>は淳悟<じゅんご>に萌える桜庭自身であり、自分の萌えを書くからこそ執拗な描写に愛がこもるのでしょう。
桜庭はいつも痛い名前付け(海野藻屑<うみの もくず>とか)をしますが、腐野花は醜悪で腐った匂いで蝿を集めるラフレシアであり、ただれた愛情関係で繋がれた鎖<くさり>という意味を持たせているのでしょう。名字なので養父の淳悟も腐野淳悟。鎖で繋がれている。
芥川賞の川上未映子は美人さんで『乳と卵』もクライマックスでは奇妙な可笑しさがあって面白かったですが、やはり桜庭一樹が広く知られたことが今年の文壇の収穫でしょう。


独白するユニバーサル横メルカトル<平山 夢明>【図書館列車書庫入り!】

すげぇ。桜庭一樹に近い、ものすごい文章力で綿密にうんこを書く人だ。うんこはあくまで比喩だけど、平山氏にとってはまぁ似たようなものだ。
『無垢の祈り』が好きだ。怪人が紳士で素敵だ。これは大好き。
やはり人間のダメさ加減、いじめなどを綿密に書くのは人の心を動かすのか。
「卵男」を映像化するようだけど、自分は「Ωの聖餐」のほうが好きだ。映像化したらきっと見るに堪えられないだろうけど、Ωの言葉遣いと物腰、話全てが好きだ。
一作一作個性があって素晴らしい。表題作「独白する~」や「ニコチンと少年」「卵男」「すまじき熱帯」などはイマイチだったけど、とにかく個性は素晴らしい。
二冊目の「ミサイルマン」も読んだが、一冊目の「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」みたいな、拷問シーンに執拗にこだわりがあるようにお見受けする。拷問に性癖が結びついているのかと思うほど。
最近町山さんのラジオ(町山智浩のアメリカ映画特電)のスポンサーを始めたようで、毎週聞けて嬉しい。自分もスポンサーが出来る身分になりたいなぁ。