(月) 21:49 感想
チノミ<吉永 龍太>
チノミ 1 (1) (アフタヌーンKC)

美男美女が出てきて格好付けるだけの、その他大勢の「吸血鬼題材モノ」は心からどうでもいいが、これは何故か気になった。

個性的な絵だ。
生活臭溢れる建物や家、室内の汚れなども徹底的に描き込まれる。
萌え絵みたいに客に媚びたり、フォーマットに甘ったれた絵じゃない。
ブスを全力で不細工に描く。
ギャグに茶化さず、真面目に。

荒木飛呂彦のアシだったのかな? ってぐらい荒木っぽいコマ運び、フキダシの置き方、語り口、印象的な構図が重要なシーンで見られる。
なのに今の白い荒木風な絵ではなく、吉永さんの緻密で濃ゆい絵で描かれるので、独特の雰囲気になっている。

そして暴力シーンの迫力は並大抵ではない。
根底に『少年ジャンプが好きだったんだな』という物も垣間見れるけど、この漫画は子供向けではない。青年・成年以上の心に迫る漫画だ。

話としては作者の言う「半端に脱色した髪の毛のだらしないフリーターの兄ちゃん」の話。
この漫画に関しては、ストーリーだけ取り出してみても仕方がない。
プロットだけ聞いても面白そうに思えないかも知れない。
なのに何故かこの漫画には引きつけられる。


半熟女子<森島 明子>
半熟女子 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

絵柄が最初の方、かなり青木光恵にそっくり。青木光恵かと思った。
二話で出てくる華嶋さんだけちょっと目の描き方違う。

大人の女性の身体と女子高生の身体がちゃんと描き分けられている。
女子高生脚太っ……w んでやっぱ全体的に子供っぽい。
大人の身体はグッと細くスレンダーになっていて。

あ、基本、百合のエロ漫画ですw
キスがエロいのぅ。

「女子校<ここ>に男がいないから 代わりに女で恋愛ごっこしてるんでしょ?」
ってのは深い問いかけだと思う。

江戸川先生が萌える~。


とろける鉄工所<野村 宗弘>
とろける鉄工所 1 (1) (イブニングKC)

「うちの旦那は
目玉が焼けます
溶接で」

実はカバーが戯画的で面白い。カバー裏にも漫画有りますよん。

鉄工所の溶接職人たちの日常を漫画に。
これはまたニッチだけど、自分には身近な話で楽しかった。

昔X68000 Red Zoneを買うためにバイトした鉄工所を思い出す。
自分は溶接できないんで、
職人さんに「道具取ってこい」って言われたら道具箱まで走っていってすぐ戻ってくるとか、
何を言いつけられても良いように職人さんのすぐ側に居るようにしたり、
自分に出来る限りのことをした。キビキビ動くことで逆に仕事を楽しんだ。

真面目ぶってんじゃなくて、何というか……。
みうらじゅんの言う「親孝行プレイ」に近い思想だ。
「苦労」を「プレイ」として、分かっててやってるんだというスタンス。
(今ググったら、深夜ドラマ化されてて魂消た)

サンダーで溶接跡をきれいに平面になるように削ったら、
表面の銀色の鱗が螺鈿細工みたいにきらきら光った。

ボール盤で鉄の板にドリルで穴を開けると、
どるるるるっ……っと手から肘までに感じる振動と手応えが気持ちよく、
爪で引っ掻いても傷一つ付かない鉄板に綺麗な穴が開いた。
(だから新MacBookのアルミ削り出しってのはグッと来るし、あの筐体はいつまででも撫でていられる)

この漫画にも描いてあるけど、
ドリルから林檎の皮みたいに薄い鉄板の切粉が飛びだし、
そのままドリルに巻き付いて回転する刃物みたいになって、
材料を押さえる手を攻撃されたこと……あるあるw

自分より巨大な鉄板や鉄骨に、赤茶色の錆止めを垂れないように伸ばして塗るのが楽しかった。

ナッちゃん<たなか じゅん>
ナッちゃん 1 (1) (ジャンプコミックスデラックス)

純粋な技術や工夫の面白さで読ませる「ナッちゃん」も読むの楽しいけど、
「とろける鉄工所」は職人哀歌という風情。
家族の、職人や仕事に対する視線がとても優しい。