(土) 01:19 図書館列車書庫
小説を書くにあたり狸について調べてたら、こんな狂歌があった。

尻の漏る茶釜狸の屁で直し


とろける鉄工所 2 (2) (イブニングKC)「とろける鉄工所」二巻によると江戸時代? の頃は鋳掛<いかけ>屋という「流しの溶接屋」みたいのが居たそうで。穴の空いた鍋を渡すと道ばたに簡易溶接セットを広げ、鞴<ふいご>で強い火を熾<おこ>して坩堝<るつぼ>でしろめ(銅と亜鉛の合金)を融かし、半田みたいに穴に詰めるという。
んでこの風を送る鞴の素材によく狸の皮が使われてたらしく、そこから「尻の漏る茶釜」を鋳掛屋が「狸の屁で直し」ている、という事で、何とも上手いなあと。

昭和初期頃までゴロゴロ居た鋳掛屋という職業が、鍋の質が良くなり穴が空かなくなってきた頃から消えていった。
──必要とされなくなったモノは、古いモノは、消え去るのみなのだろうか?


グラン・トリノ<監督・出演:クリント・イーストウッド>【図書館列車書庫入り!】
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良かった。
ちょっとした台詞やジョークの一つ一つが生きた人間の言葉で、考えて初めて分かる深みがある。
住み慣れた街にアジアやスパニッシュなど、白人以外の人々が増えていく。
人が代わり、街が変わっていく。
不要だったり古いとされる男、車、心。
男だからこそ男である事に苦悩する男。
そして一つの答えを出す。
シンプルな話なのに、深い。
多分DVDを購入して、ふと思い付いて見直すとまた違った発見がありそうな映画だ。

隣の席の女性がよく笑ったり、泣いていた。
お笑いタレントが馬鹿な真似をして「笑われる」のではなく、見る側が「人間らしさ」を見つけた時に出る、あの笑い。完全に憶測だけど──赤ちゃんが笑うのと同じ、人間らしさを感じた時の本能的な笑い。
その涙もきっと、その辺の馬鹿でも見れるように作られた、安易な難病物のお涙頂戴やアクションではない、全く別物の感動であったと思う。
自分は涙こそ流しはしなかったが、もっと深いところで感動していた。

感動した、とか陳腐な表現はこの映画に似合わないのだけれど。
ネタバレやストーリーを回避して言えるのはそこまでかな。