(木) 20:23 図書館列車書庫
マイマイ新子と千年の魔法<原作:高樹のぶ子 監督:片渕須直 制作:マッドハウス>
【図書館列車書庫入り!】
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三丁目の夕日的な、懐かしさを武器にお涙頂戴する映画かも、と少し色眼鏡があった。

説明できない感動を受けた。
美しい。綺麗事ばかりではなく、だのに、うるわしい。

戦後の話は全て「戦争反対」を声高<こわだか>に叫ぶための道具にされてばかりだったが、
これは初めて見た「そういうことは置いといて一般の人々を画くアニメ」だ。

→できればHDで見て欲しい

表層的な内容を一言で云えば「遊ぼ?」という想い。
なのにちゃんと映画になっている。
ああ、これでもいいんだって思えた。
創作者としてがっつり立ち直った。

ストーリーらしいストーリーはあまり重要ではないと思う。
もちろんきっちり意味がある部分もあるのだけど、
感動させるための用意された悲劇などではない。

(ネタバレかも。反転~)
三つの時代が折り重なるように思えた。
一つめは千年前? の周防の国。
二つめは物語の舞台となる昭和三十年代の風景。
三つめは現代。映画で画かれているわけじゃない。しかし、映画を観た私たちの心の中にはこの千年前、昭和三十年代、現代へと連なる連続性が感じられるだろう。

「昭和三十年代な風景が残っている」ではない。それは名残に過ぎない。
通る物が牛からバイクに変わっても、
「道」という『何もない空間』が『残っている』ように、
物である必要すらなく、現代は現代の風景があっていい。

それでもそこにある人々の暮らしや心は何も変わらないのだから。
『友達にだってなれる』。
だから、千年の魔法、なのだろう。



折り重なる人々の心の描き方が、大変上品で丁寧。
特にひづる先生に全く台詞を割り当ててないカットが素晴らしい。

繁華街での一連の体験は「小説ならではの仮想体験感覚」だと思っていたけど、
アニメで同じぐらい生々しい空気感を体験できた。夜道もいいね。

原作は読んでいないけど、これはひょっとすると
かなりいい出来の「体験具現化」なのではないだろうか。


音楽と効果音は物凄いこだわりが感じられ、
「これ! この音!!」という効果音が入ったときは物凄い気持ちよかった。
駅のシーンで親子が降り立つ様子は、右側でカンカン叩く音(建築?)がする。
彼ら視点、彼らの側にカメラが居るときは叩く音が左側になる。
それだけでカメラが切り替わったことや、視点が変わったことが判る。丁寧な演出。

その流れで映画を見る者が彼らと同じく、駅前の様子をしげしげと見つめる。
自然に共有体験になる。


妖怪好きとしては「方相氏<ほうそうし>」が出てきたことにニヤリ。
方相氏は妖怪ではなく悪鬼を駆逐する呪師で、
「節分の豆まき」の元ネタとも云われる。「なまはげ」の元ネタでもあるかも?
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鳥山石燕「今昔百鬼拾遺」より方相氏(画像はウィキメディア・コモンズより)


興行成績は良くないのか、公開規模がどんどん縮小されているそうで。大阪は明日まで。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」だけじゃなく、これもちゃんと見られて、
中ヒットして欲しかったなぁ。

片渕監督も注目に値する、丁寧で上手い映画監督だと思う。

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エコバッグほすい。